札幌ドームが一体感に包まれた日、デスクは2度感動する。
2009.12.03更新
11月29日(日)、コンサドーレ札幌と横浜FCの一戦は、コンサドーレの今季ホーム最終戦であるとともに9年間、コンサ一筋でプレーしてきた地元・札幌出身の曽田雄志選手の引退マッチと銘打たれていた。この試合で後半終了間際に交代出場した曽田選手は自らもぎ取ったPKから現役最後のゴールを決めた。日本国内に「プロ」と呼ばれるサッカー選手が生まれてから、引退試合でゴールを決めた人が果たして何人いるのか、これから決める人が何人うまれるのかは知らないが、プロ野球選手が引退試合でホームランやタイムリーヒット、あるいは三振をとると言った「見せ場」を作るより少ないであろう事は想像に難くない。その瞬間を札幌ドームで見届けられた事が、この日最初の感動だった。
誰もが知るトッププロであれ、他人から見れば趣味の延長にしか見えないアマチュアレベルであれ、プレーヤーなら誰もが直面する引退の決断。子供の頃の夢を掴み「特殊才能」で身を立てる、羨むべき遠い存在だったプロスポーツ選手たちが「年齢と向き合う姿」を見せられると、不思議なシンパシーがひときわ沸いてくるのがデスク世代と言えよう。
何歳くらいからだろうか。「ベテラン」と呼ばれる選手たちに、知らず知らず肩入れするようになったのは。昔とは真逆の観戦姿勢だ。かつては、老獪なベテランを圧倒的な力と勢いでねじ伏せていく若手に喝采を送るのが自分の観戦スタイルだったはずだ。いつしか同世代のスポーツ選手たちがどんどん少なくなって行き、気が付くと様々な種目で現役を続けている同世代プレーヤーはほんの一握り・・・そうなると、特に応援していたわけでもない選手が気になりだし、いわゆる「ファン」という自覚はなくても、ふと気付くとその選手を応援している自分に気付く。
「引き際の美学」は永遠のテーマなのだろう。スポーツの世界で現役選手を引退する時、第一線での競技生活にピリオドを打つとき、それはプレーヤーにとって大きな人生の転機だ。ボロボロになるまでやりつづけるのか、あるいは惜しまれつつ身を引くのか、一体何をもって「美しい」のか、そもそも美しくなければならないものなのか・・・ シーズンが終わると、次々と発表される「引退表明」に何とも言えない寂しさを感じる一方、「現役続行」宣言が報じられると、なぜかホッとする。
曽田選手はPKに臨む時、相手チーム選手から声をかけられていた。
「決めろよな」
すでに両チームとも今シーズンでのJ1昇格は消えていたとは言え、公式戦1点差ゲームの終盤、異例のエールだ。
真剣勝負のさなかの「声かけ」はしばしば物議をよぶ事件となるが、往々にして事件を起す(?)のは、、勝負の厳しさもプロの機微も知り尽くした然るべきベテランもベテラン、「この人が言ったなら・・・」という“格”のある選手である。今回、声をかけたのはキング・カズこと三浦和良選手42歳。
試合後このドラマを聞かされると、事の善し悪しを論じる以前に、デスクの胸にはこの日2度目の感動がじわじわと広がっていたのである。
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